泡と気泡:その違いとは?

工学の分野では「泡」と「気泡」は似ているようで異なる現象を指し、明確に区別する必要があります。

定義

  • 定義: 液体表面に集まった、薄い液膜に包まれた気体の集合体。これを表面泡(フォーム)と呼びます。
  • 定義: 液体中に分散して存在する気体粒子。これを分散気泡と呼びます。

気体の位置と挙動が両者の主な違いです:

  • 泡=表面現象
  • 気泡=液体内部に分散
Foam and bubbles illustration

表面泡(フォーム)

表面泡は、薄い液膜に気体が閉じ込められ、液体表面に浮かぶことで形成されます。タンクや容器の上部に見られる泡がこれです。

原因:

  • 分散気泡が集積することで発生します。

問題点:

  • タンクや容器からのあふれの原因となります。

解決策:

  • 高級アルコールやシリコーンオイルなどの消泡剤を添加します。
  • 表面泡の除去を「消泡」と呼びます。

分散気泡

分散気泡は、液体内部に浮遊する微小な気体の粒で、目に見えない場合もありますが、流体システムに大きな問題を引き起こします。

原因:

  • 機械的撹拌や液体の落下
  • キャビテーションや振動
  • 液面の揺れによる空気巻き込み
  • 起動や充填時にシステム内に取り込まれた空気

問題点:

  • 流体の流れを妨げたり、計測精度の低下、システムの不具合を引き起こします。

解決策:

  • 消泡剤は効果がなく、かえって気泡の上昇を妨げる場合があります。
  • 分散気泡の除去には専用の気泡除去装置が必要です。